ケーススタディ

2018.12.22更新

丸ノ内線の新宿御苑前駅近くで法律事務所を開業し、活動しております弁護士の石原です。

 

今回は、サクラを使ってお金(サイト上でのやり取りに使うポイント購入金)を騙し取る出会い系サイト、通称【サクラサイト】と疑われる海外のサイトから返金を受けることができた事例をご紹介いたします。

 

1.出会えない出会い系【サクラサイト】


 

出会い系サイトなどでは、サイト上でメールのようなやり取りをするにはポイントが必要なサイトもあり、異性と直接会うために多数のポイントを利用しなければならない場合があります。

そういった目的を利用し、または、「お金をあげる」「援助してあげる」などと、金銭の贈与を匂わせて、登録車に多額のポイント購入資金をサイトに落とさせる「サクラ」が存在する場合があります。

ときには、そのような「サクラ」被害者による売上のみを目的に作られた「サクラサイト」もあります。

 

2.サクラサイトの問題点


 

こういったサクラサイトと、利用者を装ったサクラが共犯関係にあるのは、誰もが理解できるところではありますが、その立証が難しい場合もあります。

今回は、被害者の方が全てのやり取りを保存されていて、サクラと思われる人物がサイトにお金を落とさせる、ポイントを購入させるためだけにやり取りをしているとしか考えられないことが明らかになりました。

例えば、利用者が相手方とサイトを通さずに直接メールなどの連絡をやるための情報を交換しようとすると、本来は多額のポイントが必要であるが、相手方がプレゼントしたという連絡が届きます。

しかし、このプレゼントを受け取るためには、30分以内に一定の手順を踏まなければならないと記載されています。

利用者は、この手順に従って作業しましたが、失敗扱いとされてしまうのです。

その理由が、非常に些細な事であったり、勘違いしやすいように記載されているルールに違反したというものでした。

プレゼントを受け取るための【キーワード】を入力するよう指示され、被害者が「キーワード」と入力すると、実は【】もキーワードの一部であり、これが抜けていることが理由に失敗とされていました。

 

3.海外サイトの問題点


 

今回は、それだけにとどまらず、サイト開設事業者が海外の会社となっていました。

訴訟をし、強制執行をするとなると、実際の被害回復が困難となる、あるいは時間がかかってしまい、その間に逃げられてしまうという危険性がありました。

また、クレジットカード決済によりポイントを購入していましたが、カード利用履歴を見ると当該サイトの名前はなく、見覚えのない複数の名称が記載されていました。

 

4.今回の解決のポイント


 

今回は、クレジットカード会社に当該カード利用履歴について問い合わせをしたところ、クレジット決済の代行業者を通しての決済であることが分かりました。また、当該代行業者の連絡先を教えていただきました。

直ぐに代行業者に連絡し、利用サイトが「サクラサイト」であること、訴訟も辞さないが早期解決できるのであれば譲歩も検討することを伝え、決済の取消しを要請しました。

数日後、当該サイトからは全額ではないものの予想以上の返金約束を取り付けることができ、被害金が一部戻ってきました。

今回の解決のポイントは、被害者がサイトが「サクラサイト」であると分かった段階で、やり取りをすべて保存し、その後に退会したことが大きかったといえます。退会後は、サイト上のやり取りを見られなくなることが多いため、是非証拠を収集をしてからの退会としてください。

また、海外サイトでしたが、被害者が早期解決のために交渉、一定の譲歩による解決を選択されたこともポイントになります。

刑事事件化したり、訴訟した場合は、今回と同程度の被害回復ができたかは分かりません。少なくとも解決までの道のりは、より険しく長いものとなっていたことでしょう。

 

詐欺かも? と思った場合は、専門家、警察、消費生活センターなどに直ちにご相談ください。

 

 

投稿者: 石原晋介法律事務所

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