よくある質問

2017.10.12更新

新宿・四谷地区で弁護士をしている石原です。

 

今回は、会社経営者さん、企業の担当者さんからよく相談を受けます、契約書作成時の注意点のうち、一部についてご説明いたします。

 

1.契約書とは


 

契約というのは、ほとんどの場合が書面で行う必要はありません。

これは、法的に書面の取り交わしが要求されていないという意味で、現実的に必要がないという意味ではありません。

法律で要求されていないにもかかわらず、なぜ契約書は作成されるのでしょうか?

お互いに契約交渉をし、「じゃあ、これでやっていきましょう」と喜んで会社に帰って、果たしてそれで仕事ができるでしょうか?

契約担当者は、交渉経緯を分かっているので、どのような契約か分かるかもしれませんが、実務担当者はどうでしょうか?

また、果たして契約担当者同士も、共通認識でいるでしょうか?

 

契約書は、どのような内容で合意したのかを明らかにし、契約に沿った仕事ができるようにするというのが大きな役割です。

また、紛争になった場合に、裁判官にどのような契約であったのかという証拠として提出できる証拠化ということも見過ごせません。

 

したがって、契約書は「誰が見ても契約内容・債権(要求できる権利)・債務(やらなければいけない義務)が分かる」ものでなければいけません。

 

 

2.契約内容の記載【5W1H】


 

誰が見ても、何をすべきか分かるというためには、どのように記載すべきでしょうか?

「甲は、乙に対して、バナナを100円で売る」

こんな条項だけの契約書は、果たして上記のような役割を果たしているでしょうか?

誰が? これは甲が義務を負っていることは分かります。

誰に? 乙さんに対して義務を負っていることは分かります。

何を? バナナを売るということは分かります。

幾らで? 100円で売るということは分かります。

問題がないように思えたのなら、トラブルが起きる黄色信号です。

 

甲が乙さんにバナナを売るとしても、分からないことが沢山あります。

甲はいつまでに乙さんにバナナを届ければいいのでしょうか? 今すぐ食べたい? ケーキを作る日に届けて欲しい? 毎日欲しい?

何に使うのかも、本数も、産地の指定があるのかも、引き渡し場所や方法も分かりません。

 

そこで、契約書を作成するときは、英語の授業で習った【5W1H】を意識して作成するといいでしょう。

誰が、誰に対し? 何を? いつ? どこで? 何のために? どのように?

全て必ず必要というわけではありません。

しかし、作成された契約書で決められていないけれど、問題となり得ると思うものがあれば、追加・修正をしてください。

 

私は漫画が好きなのですが、カイジという漫画の登場人物が次のように言っています。

「(金を)出す。出すが、その時と場所の指定まではしていない(中略)その気になれば金の受け渡しは10年20年後ということも可能だろう」

もちろん、通常は、契約全体から見て10年後20年後の受け渡しでも可能ということは無いでしょうが、履行期(いつ)というのはとても大事な要素です。

契約書に支払時期の記載があっても、納品から何か月も後になって支払いというような契約ばかりで、資金繰りが上手くいかない……

という事態もあります。

是非、契約書作成時には5W1Hに気を付けて、作成、取り交わしをしてください。

 

 

契約書作成について専門家の意見を聞きたい、作成することが難しいという場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。

 

投稿者: 石原晋介法律事務所

2017.10.11更新

新宿で弁護士をしています石原です。

 

最近は一時期ほどCMなどで聞かなくなりましたが、一時期は弁護士・法律事務所のCM・広告といえば過払金(過払い金)に関するものばかりでした。

しかし、ほとんどの人が自分には関係がないと思っているのか、過払金とは何か? どういう人が対象になるのか? 分かっていないように思います。

そこで、とても簡単に過払い金とは何か? というお話をいたします。

 

1.利息制限法・出資法・貸金業法


 

いきなり法律の名前が出てきてしまって、難しいように思うかもしれませんが、その名前の通り「利息を制限する法律」が日本にはあります。

しかし、少し前までの貸金業では、この法律で上限として定められていた利息以上の利息を取っていました。

「それって違法じゃないの?」と皆さん思うでしょう。

そうです。違法なんです。

しかし、実は他にも利息の上限を定めている法律があり、その上限が利息制限法より10%も高い利息を設定していたのです。

この間の利息をグレーゾーン金利と呼んでいました。

なぜこのようなことが起きるかと言いますと、それぞれの法律の目的が異なるからです。

利息制限法は民事上、もう一つの出資法は刑事上の利息上限を定めていました。

利息制限法を超えていても、出資法を超えていなければ罰則は課されません。

さらに、貸金業法という法律があり、一定の条件をクリアしていれば、このグレーゾーン金利を受け取ることができてしまっていました。

 

2.過払金


 

しかし、最高裁判所の判例によって、ほとんどのグレーゾーン金利が民事上無効となりました。

そのため、貸金業者は利息制限法の上限を超える利息を民事上も受け取れないという事態が生じました。

これまで業者がグレーゾーン金利として受け取っていた利息が、実はもらい過ぎで、消費者からすれば「払い過ぎ」だったわけです。

そこで、利息制限法の利率で借りたお金(元金)、利息、返済金を計算し直す(引き直し計算)と、実は借りていたお金(元金)も完済していて、そこから先は「過払金(過払い金)」となっているのです。

これは、貸金業者との取引明細を見ても直ぐに明らかになるものではないので、現在も返済中の人も、既に何年も前に完済している人も、過払金が発生している可能性があります。

 

3.過払い金の可能性がある人


 

過払金の可能性がある人はどのような人でしょうか?

上記のようなグレーゾーン金利を払っていた人です。

時期で言えば、おおよそ平成18年より前に貸金業者と契約していた人です。

その後、金利は見直されていますが、それ以前の取引について業者から自主的にもらい過ぎの金額を教えてくれたり、返してくれたりということはありません。

そこで、過払金があるかどうか確認したり、過払金を取り戻すためには、自ら行動を起こすしかないのです。

10年以上前に貸金業者から借り入れをし、苦労していた方は当時の契約書や明細、あるいは取引履歴を確認してください。

20%を超える利率が書かれていますと、払い過ぎのお金があったり、あるいは借金が実はもっと少なくなっているということがあります。

 

4.過払い金の期限?


 

広告などで、「過払金には返金期限がある」と聞いたことがある人も多いでしょう。

これは、過払金に限らず「消滅時効」という問題です。

昔のことを持ち出されたときに「時効だ」と反論するのを見たり、聞いたりしたことがあると思います。

「時効」の一つに、請求権が消滅してしまうものがあります。

お金の返還などの債権は10年で消滅時効にかかります。(平成29年10月現在。改正に注意してください)

過払金が一般に知れ渡ったのが、上記のように平成18年頃ですので、時効消滅してしまっている方が沢山出ていると思います。

この記事を読んでいただいた方の中で、平成18年より前に契約して、消費者金融やカードキャッシングを継続的に利用していた方は、是非取引履歴を取得していただく等、過払金の有無をご確認ください。

 

実際に取り戻したい、手続きについて具体的に相談したいという方は、当事務所までご連絡ください。

 

投稿者: 石原晋介法律事務所

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