弁護士コラム

2017.10.19更新

新宿御苑前で弁護士をしている石原です。

 

みなさん、弁護士にはどんな時に相談すると思いますか?

訴えられたとき? 逮捕されてしまったとき?

いずれにしても、「トラブルになった後に相談する相手」とお考えの方が多いのではないでしょうか。

また、トラブルといっても、この種のトラブルは弁護士に相談してもいいのだろうか? と悩んだことがある方もいるでしょう。

もしかしたら、法律問題であることや、話し合ったり、裁判をすれば何とかなる問題であるということに気づかず、専門家に相談しようとすら思わずに終わらせてしまい、後悔された方もいるかもしれません。

 

静岡市が「行政困りごと相談所」を開催し、専門家(士業等)や行政が参加し、困りごとに対しワンストップサービスを提供したところ、1日で約50件の相談が寄せられたというニュースを見ました。

静岡市でも、各士業も行政も無料相談会などは定期的に開催しているでしょうし、事務所での無料法律相談を実施している弁護士も多数いるはずです。

それにもかかわらず、この相談会に1日で50件も相談があったことにびっくりしました。

何故市民の皆様は、各士業・団体・行政が行っている相談会には行かずに、今回のこの相談会に行かれたのでしょうか?

 

もちろん、PRの不足ということもあると思います。

弁護士会でも無料相談会やっていますよとお伝えすると、知らなかったという方も沢山いらっしゃいます。

しかし、本気で悩んでいる方が、全くどの相談会、どの専門家の広告も見かけなかったということだけでは、今回の相談件数の多さは説明がつかないようにも思えます。

 

私の想像でしかないのですが、最初に書いたような、弁護士にどんな相談をするべきか分からない、この相談はどの専門家に相談すればいいのか分からない、ということから、相談会に思い切って足を運べない方が、私たち専門家が思っている以上に大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

つまり、「自分の抱えている悩みを誰に(どの専門家に)相談すればいいのか分からない」という人、「相談すれば解決する問題か分からない」という人がとても多いと予想しています。

 

私も「弁護士にこんなこと聞いていいのか分かりませんが……」という前置きをされてご相談を受けたところ、まさに弁護士が扱うべきご相談だったこともありますし、他の専門家をご紹介すべきご相談だったこともあります。

 

私は、弁護士として独立して、最初に行ったことは「信頼できる他の専門家とつながりを作る」ということでした。

上記のように、他の専門家をご紹介すべき場合もありますし、弁護士が解決した事件の後処理や、解決するために必要な証拠などで他の専門家のお力を借りるべき時があると思っていたからです。

実際に、相続事件が解決した後の登記を司法書士の先生にお願いしたり、遺言書作成のために税理士と協力し合ったり、不倫の証拠を掴むために探偵さんにお願いしたりと、各専門家のお力を借りて依頼者様のお悩み解決に取り組んでいます。

したがいまして、他の弁護士もそうだと思いますが、「弁護士に相談すべきことか悩んでいる」場合は、まずはお気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです。

お問い合わせいただくタイミングも、「紛争になってしまった」という状況であれば、出来るだけすぐに相談に来ていただきたいのですが、それ以前に「まだもめていないけれど、これからもめてしまうかもしれない」というタイミングでも気兼ねせずにお早めにご相談ください。あらかじめ、法律問題に関する予備知識や、紛争になってしまった時の手続きの流れなどを理解しておくことで、安心して臨めることもありますし、相手方への提案や決着点を考えておくことで交渉をリードすることもできます。

また、私は他士業・専門家とセミナーや相談会を開催することも多いので、これからはHPで積極的に告知し、「誰に相談すればいいのか分からない」人も、迷うことなく相談に行ける機会をたくさん提供していきたいと思います。

 

誰に相談すればいいのか、弁護士に相談してもいいのか悩んだら、是非一度お気軽にお問い合わせください。

よろしくお願いいたします。

投稿者: 石原晋介法律事務所

2017.10.08更新

丸ノ内線の新宿御苑前・四谷三丁目で事務所を構えています弁護士の石原です。

 

先日、ネットでニュースを見ていると、次のような記事が目につきました。

「長嶋一茂が告白、父・茂雄氏の財産既に放棄」

長嶋茂雄さんと言えば、誰もが知っている日本プロ野球の名選手・名監督です。

長嶋さんは脳梗塞で倒れられたものの、いまもお元気だと思っていたのでお亡くなりになったのか?とビックリしました。

何故私がこの記事で長嶋さんがお亡くなりになったとビックリしたかを以下で簡単に説明いたします。

 

1.相続放棄とは


 

 

「相続」が発生すると、相続人は「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継」(民法896条)します。

つまり、+の財産(権利)だけでなく-の財産(義務・債務)も承継してしまいます。

そのため、-の財産が多く、+の財産に見るべきものがない場合は、相続すると”損”ということがあり得ます。

そこで、「相続の放棄」をすることで、「初めから相続人とならなかったもの」として扱われます(民法939条)。

つまり、相続を放棄すると、被相続人が作った借金を負わなくて済むということです。

 

2.相続放棄の方法


 

 

相続放棄は、手続きが法律で決まっています。

単に、他の相続人に放棄すると伝えるだけでは放棄できません。

正しく放棄をするためには、「家庭裁判所に申述」しなければなりません。

被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所において手続きをする必要があります。

手続きには、亡くなった方の戸籍・住民票、放棄する方の戸籍等が必要です。

手続きにお困りの時は是非専門家にご相談ください。

 

3.相続放棄までの期間


 

 

相続放棄の手続きは、自分が相続することを知ってから3か月以内にする必要があります(民法915条1項)。

これを過ぎると、相続放棄できず、相続を受け入れた(承認)ことになってしまいます。

この期間は、相続財産の調査が終わらないとき等、裁判所に延長(伸長)をしてもらうこともできます。

 

 

4.事前の放棄


 

実は、この相続放棄は、事前に行うことができません。

そのため、私は先ほどの記事で長嶋さんがお亡くなりになったのか!?とビックリしたのです。

 

相続で揉めたくない場合や、誰かに財産を集中させたいという場合に、放棄したいとか、放棄をお願いしたいという相談はよくあります。

しかし、事前に放棄をするといっていても、それでは相続放棄の効果は生じないのです。

それでは、相続で揉めない為に、あるいは財産を集中させるために出来ることは無いのでしょうか?

 

5.遺言と遺留分の放棄


 

みなさんもよくご存じの相続対策に遺言があります。

予め、誰にどの財産をあげたいのか決まっている場合、あるいは割合を法律とは異なる割合にしたい場合などに有効です。

しかし、気を付けていただきたいのが「遺留分」という最低限度相続できることが保障されている権利があることです。

詳しくは、別項目で解説しますが、この遺留分は単純に遺言をしただけでは無しに出来ないのです。

 

もっとも、相続人のための権利ですから、遺言を残した方の意思を尊重して、この遺留分は要りませんという手続きは事前に出来ます。

それが、遺留分の放棄です(民法1043条1項)。

この手続きは、相続の放棄とは逆に、相続開始前つまり被相続人予定者の生前に行うことになります。

したがって、一茂さんの言っている放棄は分かりやすくいっただけで、この遺留分の放棄かもしれません。

遺留分の放棄は被相続人の方の住所地を管轄する裁判所で許可を得て行います。

 

遺言で揉めないように準備していても、遺留分を侵害したとして結果的にもめてしまう事例も沢山あります。

相続人の方とよく話し合って、可能であれば遺留分の放棄もしてもらえた方が紛争予防としてはベターだといえます。

もし、一茂さんのおっしゃる放棄がこの遺留分放棄だとしたら、相当しっかりとした相続対策がとられているということになります。

流石です。

 

 

相続で揉めないようにあらかじめ対策を考えたい方は是非一度当事務所までご相談ください。

投稿者: 石原晋介法律事務所

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