弁護士コラム

2019.01.10更新

新宿御苑前で弁護士をしております石原です。

 

今回は、平成31年(2019年)1月13日から改正される、自筆証書遺言の方式の緩和についての概略をお伝えいたします。

 

 

1.改正前の自筆証書遺言


 

改正前の自筆証書遺言は、「その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」(改正前民法968条1項)とされています。

これは、人生の終末期を迎えたご高齢者にとっては大変な負担となっています。

また、例えば自宅不動産を遺言により相続させようと思い、自宅住所を記載し、「(住所)の自宅を配偶者に相続させる」等としても、実は不動産の地番・所在と住所が結びつかず、簡単に相続登記ができないということもあります。

先日、私も身内の遺言をチェックしましたが、不動産の特定に関する記載が不十分で、登記事項証明書を見ながら、「これと、これと、これを書いて」と沢山の指示をし、それを自書していただかなければならず、非常に苦労しました。

このように、改正前の自筆証書遺言は財産の特定に関する記載も自書しなければならず、多大な労力を使い、不備の恐れもあるという使い勝手の悪いものとなっていました。

本来、自筆証書遺言は、誰でも、いつでも遺言ができる簡便な方法であるはずですが、実際は利用を妨げる原因となっていました。

 

2.改正後の自筆証書遺言の概略


 

改正法では、改正前の条文の1項と2項(加除訂正の方法)との間に新たな条項が設けられました。

「前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部または一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。」(改正後民法968条2項)

 

これによって、財産目録をワープロ書きや代書、登記事項証明書、預金通帳の写しの添付などで作成、使用することができるようになりました。

ただし、ワープロなどで作成した財産目録を添付する場合は、各ページに署名・押印をする必要がありますので、ご注意ください。

 

今回の改正によって、自筆証書遺言は相当利用しやすくなるのではないでしょうか。

また、新しく法務局での遺言書保管を申請できるようになります(2020年7月10日から)。

相続は誰にでも起きることですし、いつ相続が始まるかは予想できません。

財産の引継ぎ等に何かしらの要望等がある方は、ご年齢にかかわらず早目に遺言書作成をご検討ください。

当事務所は、遺言書作成についてのご相談を、税理士と共同でお伺いすることも可能です。

 

投稿者: 石原晋介法律事務所

2019.01.09更新

丸ノ内線の新宿御苑前駅から徒歩2分の事務所で活動しております弁護士の石原です。

 

皆さんご存知でしたか。

今年から、相続に関連する法律が変わります。

今回は、相続法改正の概要をお伝えいたします。

 

1.主な改正点


 

今回の法改正では、以下のような点が変わります。

(1)配偶者居住権

(2)持ち戻し免除の意思表示の推定規定

(3)遺産分割前の預貯金の払い戻し制度

(4)遺産分割前に処分された財産の組み戻し

(5)自筆証書遺言の方式の緩和

(6)遺留分制度の見直し(遺留分侵害額請求)

(7)相続人以外の貢献(特別寄与)

(8)相続の効力の見直し(対抗要件の要否)

(9)遺言執行者の権限等の明確化

(10)法務局による遺言書の保管制度

 

 

2.施行時期


 

改正は2019年7月1日から施行されるものがほとんどです。

自筆証書遺言の方式の緩和は、2019年1月13日から施行となります。

配偶者居住権については2020年4月1日からとなります。

法務局による遺言書の保管制度は、2020年7月10日からです。それ以前は保管を要求できませんので、ご注意ください。

 

改正法の内容については、ブログでご説明してまいりますので、今しばらくお待ちください。

 

 

 

投稿者: 石原晋介法律事務所

2017.10.08更新

丸ノ内線の新宿御苑前・四谷三丁目で事務所を構えています弁護士の石原です。

 

先日、ネットでニュースを見ていると、次のような記事が目につきました。

「長嶋一茂が告白、父・茂雄氏の財産既に放棄」

長嶋茂雄さんと言えば、誰もが知っている日本プロ野球の名選手・名監督です。

長嶋さんは脳梗塞で倒れられたものの、いまもお元気だと思っていたのでお亡くなりになったのか?とビックリしました。

何故私がこの記事で長嶋さんがお亡くなりになったとビックリしたかを以下で簡単に説明いたします。

 

1.相続放棄とは


 

 

「相続」が発生すると、相続人は「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継」(民法896条)します。

つまり、+の財産(権利)だけでなく-の財産(義務・債務)も承継してしまいます。

そのため、-の財産が多く、+の財産に見るべきものがない場合は、相続すると”損”ということがあり得ます。

そこで、「相続の放棄」をすることで、「初めから相続人とならなかったもの」として扱われます(民法939条)。

つまり、相続を放棄すると、被相続人が作った借金を負わなくて済むということです。

 

2.相続放棄の方法


 

 

相続放棄は、手続きが法律で決まっています。

単に、他の相続人に放棄すると伝えるだけでは放棄できません。

正しく放棄をするためには、「家庭裁判所に申述」しなければなりません。

被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所において手続きをする必要があります。

手続きには、亡くなった方の戸籍・住民票、放棄する方の戸籍等が必要です。

手続きにお困りの時は是非専門家にご相談ください。

 

3.相続放棄までの期間


 

 

相続放棄の手続きは、自分が相続することを知ってから3か月以内にする必要があります(民法915条1項)。

これを過ぎると、相続放棄できず、相続を受け入れた(承認)ことになってしまいます。

この期間は、相続財産の調査が終わらないとき等、裁判所に延長(伸長)をしてもらうこともできます。

 

 

4.事前の放棄


 

実は、この相続放棄は、事前に行うことができません。

そのため、私は先ほどの記事で長嶋さんがお亡くなりになったのか!?とビックリしたのです。

 

相続で揉めたくない場合や、誰かに財産を集中させたいという場合に、放棄したいとか、放棄をお願いしたいという相談はよくあります。

しかし、事前に放棄をするといっていても、それでは相続放棄の効果は生じないのです。

それでは、相続で揉めない為に、あるいは財産を集中させるために出来ることは無いのでしょうか?

 

5.遺言と遺留分の放棄


 

みなさんもよくご存じの相続対策に遺言があります。

予め、誰にどの財産をあげたいのか決まっている場合、あるいは割合を法律とは異なる割合にしたい場合などに有効です。

しかし、気を付けていただきたいのが「遺留分」という最低限度相続できることが保障されている権利があることです。

詳しくは、別項目で解説しますが、この遺留分は単純に遺言をしただけでは無しに出来ないのです。

 

もっとも、相続人のための権利ですから、遺言を残した方の意思を尊重して、この遺留分は要りませんという手続きは事前に出来ます。

それが、遺留分の放棄です(民法1043条1項)。

この手続きは、相続の放棄とは逆に、相続開始前つまり被相続人予定者の生前に行うことになります。

したがって、一茂さんの言っている放棄は分かりやすくいっただけで、この遺留分の放棄かもしれません。

遺留分の放棄は被相続人の方の住所地を管轄する裁判所で許可を得て行います。

 

遺言で揉めないように準備していても、遺留分を侵害したとして結果的にもめてしまう事例も沢山あります。

相続人の方とよく話し合って、可能であれば遺留分の放棄もしてもらえた方が紛争予防としてはベターだといえます。

もし、一茂さんのおっしゃる放棄がこの遺留分放棄だとしたら、相当しっかりとした相続対策がとられているということになります。

流石です。

 

 

相続で揉めないようにあらかじめ対策を考えたい方は是非一度当事務所までご相談ください。

投稿者: 石原晋介法律事務所

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